カテゴリ Project DIVA Arcade

pjd技術部:第二回「カメラモーションブラー」

みなさん、こんにちは。2号です。

本日公開されたDIVAレコード第二弾ですが、今回ちょっと新趣向です。学校/会社帰りなどにお試しください!
あ、そうそう。DIVAレコードを楽しむ為にはDIVA.NETへの加入が必要です。
こちらのページを参考にして、是非とも加入してみましょう。

さて、週刊ディーヴァ・ステーションのティーブレイク的記事「pjd技術部」の2回目の記事が上がってきました。
またも弊部の映像担当プログラマーのYが記事を書いてくれたみたい。

ふむふむ…明日の配信曲にも関係有り?
それでは本編スタートです!

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 ご無沙汰しております。プログラマのYです。
 気がつけば夏真っ盛り、「初音ミク Project DIVA Arcade」もver.A Rev.2が稼働中。ロケに行くと水着が華やかで素敵です。

 そんな中、技術カテゴリ記事をマイペースでのんびりお届けします。いつものゲーム情報の合間に楽しんで頂ければ幸いです。今回はリリースしたてのver.A Rev.2で地味に導入した、カメラのブラーについてお話しします。

 ブラー(blur)とは、ボケやにじみのことです。
 試しに夜の駅でカメラを振り回しながら撮影しますと…

miku_blur0.jpg
●夜のプラットフォーム。シャッタースピード1/20秒

こうなります。にじんで糸を引いたようになっていますね。
 写真撮影で「ぶれ」と呼ばれます。シャッターが開いている時間分の光が、カメラのセンサーにずれながら累積されて発生します。

 ぶれは通常好ましい効果ではありませんが、高速で動いているものを表現するのには向いています。走る電車を撮ってみましょう。

miku_blur1.jpg
●駅を走り抜ける電車。シャッタースピード1/20秒

電車の絵が流れて、走ってるんだ!と言う感じが出ますね。

 ver.A Rev.2での追加曲「初めての恋が終わる時」のイントロでは、プラットフォームをカメラが疾走するカットがあります。

miku_blur2.jpg
●「初めての恋が終わる時」by ryo (supercell) イントロ、通常描画

カメラの高速移動でも全くぶれない、ぴたっとした絵ですね。シャッタースピードゼロの世界です。動画で見るとプラットフォームをカメラが逆行してるように感じてしまいます。

 これを解消するため意図的にカメラのぶれを追加します。

miku_blur3.jpg
●同カット、カメラブラー付き。疑似シャッタースピード1/120秒

進行方向のぶれが出て、走りが感じられる絵になりました。動画で見てももう逆行には見えません。めでたしめでたし。
 処理速度と品質の都合上、すべてのシーンでブラーを付加できる状態ではありませんが、今後のバージョンアップでおいおい改善していきたいと思います。

 ちょっとだけゲームのお話を。
 このシーンの後、MAX HOLD BONUSと絡めて格好良くタイトルロゴが出るよう、HARDとEXTREMEではノーツを配置してあります。
特にEXTREMEでは気持ちよく決まりますので、ぜひMAX HOLDに挑戦してみてください。

 さて次回は一番最初に書く予定だった「初音ミク Project DIVA Arcadeの開発基礎技術」についてお届けする予定です。

■少し詳しい補足説明
1. 撮影時にカメラをしっかり支えていないと出るぶれは「手ぶれ」と呼ばれます。
この頃のデジタルカメラはセンサーの高画素化に対応して、何らかの手ぶれ補正機構がついていることが多いです。

2. 逆走やタイヤの逆回転のような、時間軸のサンプリング不足によるエイリアシングを“temporal aliasing”と呼びます。

3. ゲームが60fpsのため、疑似シャッタースピードをその半分程度の1/120秒にしています。
実際、暗い駅でシャッタースピード1/120秒はかなり厳しい速度ですが、それが簡単に出来るのはCGのいいところです。

4. カメラブラーの実装は、第一回「アンチエイリアシング」の補足説明3で書いた「再射影」そのものです。ピクセル単位に前フレームの位置を求め、現フレームの位置との間を補間してブラーをかけます。

5. その第一回補足説明で「バーチャファイター5の時に実験しましたが、処理の重さと絵が不完全になる場合があるのとで、再射影の実装は見送りました。」と書きましたが、「初音ミク Project DIVA Arcade」の基板であるRINGEDGEのビデオカードで試すと思いの他処理が軽くなっていました。
ハードウェアの世代が変わったら昔使えなかった技術を検証し直しなさい、と言う見本です。本文のとおり更に改善して製品投入を目指していきます。

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以上、映像担当プログラマーのYでした。
実はL.A.のライブ映像がミクの日感謝祭より綺麗になったのはこの人のおかげ。今後も処理落ちしない程度に色々頼む。(笑)

ということで、明日配信楽曲解禁ですが、カメラの高速移動シーンにも是非注目をしてみてくださいね。それでは、次回のpjd技術部記事にご期待ください!
(2号)