ディバステ特別版【4】『SEGA feat. HATSUNE MIKU Project』プロデューサーインタビュー

こんばんは!
PR担当の舞浜たろうです。

いよいよ大トリ!「週刊ディーヴァ・ステーション」特別版をお送りいたします!
 ※「東京ゲームショウ2013」セガブースにて配布のカタログに掲載されていた「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project」制作陣インタビューの再編集版を掲載しております。

特別版の最終回となる今回は、『SEGA feat. HATSUNE MIKU Project』について語る上では外すことのできない、プロデューサーインタビューです。

diva_ft_freele_tomorrow.jpg
『初音ミク Project mirai 2』/『初音ミク Project DIVA Arcade Future Tone』プロデューサー
大崎誠

20131002_001.jpg
『初音ミク -Project DIVA- F 2nd』プロデューサー
林誠司

20131002_002.jpg
『SEGA feat. HATSUNE MIKU Project』統括プロデューサー
内海洋

※3名ともに、画像はイメージです。

――改めて『SEGA feat. HATSUNE MIKU Project』がどういう経緯で生まれたのかをお聞かせください。
内海:2008年に入った頃、社内の色々な部署で初音ミクに関係した動きがあったんですね。でもバラバラと進んでいるだけで、全体的に見るといまひとつ面白くない。せっかく旬のコンテンツなので、ちゃんと連携を取っていったほうが面白いことが生まれそうだと思ったので、フィギュアを出しているプライズ、林が所属するコンシューマ(CS)、大崎が所属するアーケード(AC)の部署に声をかけたんです。正直に言って、ウチのオリジナルのタイトルだと部署間の利権みたいなものがあって、そういった連携を取ることはなかなかしづらいんです。でも初音ミクという絶対のアイコンがあって、みんながそれに向かって同じ方向を見ているのであれば、部門間を越えた連携が取れるんじゃないかと思い、やってみようかと。

diva_ac_ft_graphic.jpg

大崎:僕は2007年に「初音ミク」が登場したときにすごい可能性を感じて。PSP版『初音ミク -Project DIVA-』も遊んだりしながら「いつかこれに関われることになればいいな」と思っていました。そんなときに「初音ミクのライブを手伝ってくれないか?」という声がかかって。正直、光栄でした(笑)。そこで僕の所属している部署で作っている『バーチャファイター』で培ったテクノロジーをベースにライブをやったのが最初です。
そして、その流れで『Project DIVA』のアーケード版である『初音ミク Project DIVA Arcade』を作ることになりました。「部門間を越えた連携」という部分ですが、最初は「Project DIVA委員会」という勝手に作った団体から始まって。

内海:個別に動いているものがバラバラにならないように、担当者ひとりひとりを集めて情報共有をしながら進めていきました。2年ぐらい経過して、ようやく当時の社長に正式に認めてもらった、なかなか希有なプロジェクトチームです(笑)

大崎:プライズ、CS、ACで文化もロジックも全然違うので、どうしてもひとつになりにくかったんですが、そういう意味で内海の功績は大きいですね。たとえば初音ミクの誕生日に合わせて商品を展開するというのですら、連携が取れてなければできないことですし、そうしたことによって相乗効果が生めるのは『SEGA feat. HATSUNE MIKU Project』の強みですね。

mirai2-13.jpg

内海:ほかにもひとつのコスチュームができたら、それをCS、ACのそれぞれで使い、フィギュアもグッズも発売する。こうして発信源をひとつにして多方面に発信することでビジネス的にも相乗効果が生まれますし、プロジェクトとしての一体感も生み出せますからね。

大崎:こんなことは今までセガで前例がないんですよ。CSとACが一緒になって『Project DIVA f/F』を作ること自体がありえないですから(笑)

130919_DIVA_0005.jpg

:立ち上げ以来「Project DIVA」シリーズは、家庭用ゲームの開発チームが制作していました。ところが、「f/F」で新しいハードで展開するにあたって、僕や(ディレクターの)大坪、企画、デザインのメンバーがこぞって大崎の部署に間借りして、一緒に制作することになったんです。CSとACの文化の垣根を越えて、非常に貴重な経験ができたと思います。
今でこそ言えますが、僕らが大崎の部署を間借りしながら制作するなんて、これまでのセガの歴史からはちょっとありえないですね(笑)。 というのは、もともと最初の『Project DIVA』は社内での制作ではなかったので、それこそセガの開発担当は僕ひとり、みたいな状態だったんです。そのため、CS側があまりノウハウを持った状態ではなかったんですね。それをアーケード版に移植してもらうことによってAC側がノウハウを蓄積していったという過程があるんです。
なので『Project DIVA f/F』を作るときに「新しいハードで、新しいことをやるには社内で作りたい」と思ったら、必然的にこちらからACに歩み寄らなくてはならなくて(笑)。

大崎:ということで、プログラマー、デザイナーはAC部門が、プラニングは林のCS部門が担当しました。

:そうしたことを可能にしたのも、「初音ミク」というキャラクターの懐の深さですね。

大崎:まあ「初音ミクだからしようがない」というか(笑)。

:当然のように最初は文化の違いをお互い感じていたと思うんです。でも、AC部門にもミクさん好きは多いので、仮にゲーム理論としてぶつかったとしても、根本的な部分ではわかり合えるだろうとは思っていました。それこそ「可愛いミクを作ろうよ」という点ではまとまりますから。

内海:例えるならサッカーのブラジル代表とイタリア代表の半分ずつで作ったチームなんだけど、サッカーするのは変わらないですから(笑)。

:「ボール蹴ればいいんでしょ?」というか(笑)。

大崎:確かに「ゴールを決めなきゃダメだよね」という点は一致してますね。

diva_module_jul_miku_sinkaisyoujo_05.jpg

内海:すばらしいキャラクターゲームを数々送り出してきた林のCS部署と、世界に誇る技術力を持つ大崎のAC部署がタッグを組んだら、どんな化学反応が起きるか楽しみだったんですよ。でもそれは初音ミクという、テクノロジーの象徴のような存在があったからこそできたことですよね。僕が初めてリズムゲームのデモ版を見たときにちょっと感動したんです。一般の方々が作った曲に合わせて我々が作ったCGモデルが踊って、映像になっていく。それがとても素敵なことに感じたので、だったらこの「素敵」と思える人の数を増やしていけば大丈夫だと思ったんです。そういう自分達の感覚があるならやれる。逆に自分たちの感覚を信じられないプロジェクトって絶対成功しないですからね。

大崎:と言いながら、PSP版の発売1年前に制作の途中経過の動画を上げてしまうとか、セガ的には前代未聞なことをしますから(笑)

内海:初音ミクの場合は、完成までの過程を共有するのも面白いかなと思ったんで。

――今後の『SEGA feat. HATSUNE MIKU Project』における、個人的な目標や思いを教えてください。
大崎:インターネット、動画投稿サイト、初音ミクって、時代が生んだ奇跡の組み合わせだと思うんですよ。そこに何かゲームのほうからアプローチする新しい方法はないかを常々考えています。あとアーケードってもっとも技術的な制約がないぶん、よりハイエンドなものを見せなきゃいけないって義務感があるんですよ。なのでそのふたつをミクさんでひとつにしてみたいですね。

20130822_003.jpg

:家庭用ゲームは所有してもらって、長い時間楽しんでもらうものなので、いつでも好きなキャラや楽曲といっしょにいられるようなゲーム作りをしていきたいですね。また、ゲームを通して、初音ミクを通した創作をサポートできるようにしていくことで、『Project DIVA』を核にして、多くの人がミクさんたちのいい楽曲を作りたくなってくれればいいなと思ってます。それによって僕を幸せにしてくれる楽曲が増えてくれるのなら、こんな素敵なことはありません(笑)

130829_OP_001.jpg

内海:この5年間、お客様とともに成長しながら歩んできた『SEGA feat. HATSUNE MIKU Project』だったと思います。まずそのことに感謝しています。そして今回の東京ゲームショーに出展するこの3タイトルで、ある種、ひとつの区切りが付けられたと思っています。いまはこれで10年遊んでいただきたいくらいの気持ちなんですが、とにかく早いスピードで動いているムーブメントですから、気付くとミクさんがどんどん先に行ってしまうんですよ(笑)。なので、そんなミクさんを追いかけながらゲーム屋の立場でできる新しいものを追求していきたいと思ってます。

(本記事のインタビューは2013年8月に実施したものです。)

■『初音ミク Project mirai 2』公式サイトはこちら
■『初音ミク -Project DIVA- F 2nd』公式サイトはこちら
■『初音ミク Project DIVA Arcade』公式サイトはこちら

(PR担当/舞浜たろう)